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読書系女子のあれこれ

旅行と本が好き。面白かった本の考察とおすすめです。

本を読まなきゃ生きていけない 

私は旅行と読書のために生きている。
仕事は大嫌いだし、お金と保険と社会的な立場のために続けている。

 

週5日も労働するなんて辛すぎる。

友達は少ない。家族とはほぼ縁を切っている。

 


生きるのは、基本的にとても辛い。

 

 

面白い本の続きを読むために、行きたい場所に行くために、なんとか生きている。

 

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コロナの影響で、生きる目的二本柱の片方である旅行が潰れてしまった。


特に海外旅行はこれからしばらくは復活しないだろう。1年?2年?


もはや本を読むために生きているのだけど、本はいつか読み終わってしまう。
続きを読むために生きられるような本に出会える確率はそこまで高くない。

 

続きを楽しみに生きる期間はできるだけ先に伸ばしたいのだけど、面白ければ面白いほどすぐ読み切ってしまうジレンマがある。

 

続きを楽しみにしていた本を、この前読み切ってしまった。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本
 

次に楽しみにできる本がなくなると無気力な廃人になってしまうので、読んでいる最中から全力で面白い本を探し続ける毎日である。

 

 

今週、Amazonで注文していたハイスミス『キャロル』が届いた。

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)

 

映画で観てすごく良かったので。

 

まだ10ページくらいしか読んでいないけれど、面白いと確信した。
ハイスミスの小説は2冊目だが、好きだ…。

 

1冊目は太陽がいっぱい

太陽がいっぱい (河出文庫)

太陽がいっぱい (河出文庫)

 

ミステリ的な読者のリードが上手で、意外な展開が散りばめられていて飽きがこない。

情景描写が目に浮かぶよう。

同性愛系(ハイスミス自身がレズビアン)はハードな性描写が入りがちだが、ハイスミスは控え目な恋愛描写に対して、細やかなで丁寧な心情の描写が好きだ。

 

 

しばらくまだ生きていけそうです。

キャロル (河出文庫)

キャロル (河出文庫)

 

 

 

 

タイトルオチで悔しい思いをした本まとめ

ある程度本を読んできた人間なら、タイトルに釣られてお金を無駄にした経験が1度はあると思う。

 

本を手に取るきっかけとしてタイトルが重要なのは確かなのだが、タイトルだけ面白い本というのが世の中けっこうある。

タイトルでハッタリをかますこと、しょうもないまとめサイトの如しである。

 

そんな本に引っかかったときの悔しさをまとめました。

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目次


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ブルネイでバドミントンばかりしていたら、なぜか王様と知り合いになった』

タイトルと書き出しはめちゃくちゃ面白い。ついでに内容も普通に面白い。

ブルネイはエンパイアホテルのコートでバドミントンをしていたら、ブルネイ王妃がダブルスの試合を始めたところからの話だ。 


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ブルネイはマレーシアとインドネシア辺りにある小さい島。


外交官としてブルネイの大使館に赴任した筆者が、ゼロから現地に溶け込み王族や大臣と個人的に知り合う仲になったまでの話である。

 

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そもそも、タイトルの「なぜか王様と知り合いになった」の部分。
「なぜか」ではない。
普通に狙ってバドミントンを道具として近付いている。

 

私は旅行が好きなので、ブルネイでの生活や現地の文化や面白い話を期待して買った。

それが無かったかと言われるとそんなことはなくて、ブルネイ人の気質や、生活などはかなり詳細に書かれている。

それも水上生活している村の人から、王族まで


外交官としての裏情報や当時の完了事情など、この人にしか書けないオリジナリティは十二分で、普通に面白い。

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ただ、いかんせん内容の半分くらいが自慢。

 

繰り返すが、やっていることは本当にすごいのである。
バドミントン日本代表オグシオ(改めイケシオ)を初めてブルネイに招聘したのはこの人だ。

ゼロから外国で現地の方のコミュニティに入り込む技術、宗教や外交にブルネイの情報も十分で、話自体は本当に面白い。

 

すごいのだが、こんなすごいことをしたオレ自慢がベースで書かれており、ブルネイの話が相対的に少ない(半分くらい)。
妻子を犠牲にして男社会で我が物顔をして生きている、悪い意味でエリートの昭和日本男児という感じだ。


ブルネイベースではなく自分ベースだったので、がっかり度★3です。



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著者の大河内氏が更新していたブルネイ南の風通信は良かったです。
ブルネイ写真ニュース

 

 

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』

本当にギャルが偏差値を40上げて慶応に受かった話なので、タイトルに関してはその通りだ。

 

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具体的な学習方法、モチベーション管理、教員向けには指導方法なども盛り込まれていて、とても良い本だった。

ダメな人間などいません
ダメな指導者がいるだけなのです

とはいえ、このコピーはハッタリをかましすぎ。

良い指導者に指導してもらうためには金と環境が要るのである。

 

しかもこの子の受験のキーの3大要素、
地頭の良さ・自己肯定感の高さ故の素直さ・お金を用意してくれる理解のある親。

完全に親ガチャSSR上位10%

 


しかしながら、中2で英語のheもわからない状態から1年で全国模試の偏差値70を越すというのは、そう出来ることではない。

 

家庭の不和に学校の先生にも見放され、自分には何もないと思っている中1レベルの学力もないギャルという状態ではむしろ

「このまま上の大学にもあがれなくて、そうしたらもう大学に行く気も失せるだろうし、適当にバイトでもして、結婚して、早めに子育てするんだろうなー」

という本人の回顧通りの人生になっていた可能性が高い。

 

家庭の不和の妨害力は強いので、人生を諦めてしまう人間の方が圧倒的に多いだろう。

そんな中、彼女と向き合い、適切な勉強方法とモチベーションを常に与え続けることの難しさ。

筆者はとても優秀な教師だと思う。

 

具体的な学習方法(主に英語・日本史)、受験のテクニック、教師向けには指導方法など、これから何かしらの勉強や受験を控えている方、その周辺の方は読んで損はない本だ。

※2015年の情報なので、現在はまた情報がアップデートされているかもしれない

 

この子が成功した理由の大部分が親ガチャSSRというラッキーに起因するものであり、

そこのところを踏まえて更に筆者が塾の経営者という立場を踏まえると、(宣伝的な意味も含めて)ハッタリをきかせて書いたなという印象で★3です。

 

 

番外編 : タイトルでネタバレ翻訳ミステリ連作

  • 『悲しみのイレーヌ』
悲しみのイレーヌ (文春文庫)

悲しみのイレーヌ (文春文庫)

 

 

イレーヌです。


がっかり度f:id:quelle-on:20200430003130j:image

原題はTravail Soigne

直訳は「手の込んだ仕事」。

聖書等になぞらえて異様な殺し方をしてくるサイコパス連続殺人犯を追う刑事の話なので、原題はしっくりくる。

 

特に最後の逼迫したシーンが必見。

犯行後毎度おちょくるようなメッセージを警察に送ってきていた犯人がついに判明、そして最後の残酷な殺人の次のターゲットになる人も判明。

 

カミーユ刑事が急いで現場に駆けつけるも、被害(予定)者は誘拐されてしまった後、ギリギリ殺されるまでに間に合うかの瀬戸際、ハラハラしてからの…

そう、『悲しみのイレーヌ』…。

 

 

  • 『死のドレスを花婿に』
死のドレスを花婿に (文春文庫)

死のドレスを花婿に (文春文庫)

 

まずタイトルのワードを拾ったら半分くらいで犯人がわかる。

さらに「死」を入れることで、完全にオチをバラしてきた類い希なタイトル。


原題は Robe de marié

直訳は「ウェディングドレス」

そこまでなら良かったのだが。

 

がっかり度f:id:quelle-on:20200430003202j:imageミステリーとしては、本当に本当に構成が素晴らしく良くて最高。

この小説の最大の魅力は話を2転、3転させてくる劇的な展開なのだが、

1転目、2転目、3転目全てのオチをタイトルに込めるというハットトリックシュートを決めてきた。

なんで。

 

女性目線と男性目線で交互に話が進んでいくのだが、女性は自分の意識が時々飛び、その間記憶にない行動をとっているらしいと気づき、人生が崩壊し始めるところから話が始まる。

主観の不確実さや、人間ひとりの人生を壊すことがいかに簡単かを問うてくる作品だ。

 

タイトルさえ違っていれば、最後まで最高の興奮で読み切れたはずだった。

がっかり度★4です。

 

 

どちらもフランスの小説。

イレーヌの方はハードにグロ目だが、このミス1位になったり映画化しているくらいなので、本当に面白い。

フランスの街中で話が進むので、フランスやヨーロッパが好きな方もぜひ。

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: 文庫
 

どちらも間違いなく面白いが、個人的には『死のドレスを花婿に』の方が好き。

死のドレスを花婿に (文春文庫)

死のドレスを花婿に (文春文庫)

 

 

***


今後も順次追加していきます。
タイトルオチ本のオススメがあったら教えてください。
面白そうだったら読みます。

 

ミステリとしても旅行記としても良かった『太陽がいっぱい』P. ハイスミス

主人公が犯人型のミステリ要素、青い海と青い空のヨーロッパ旅行記的な要素、正反対な美形の男の子2人の揺れる感情。

 

自粛中に名作シリーズ

P.ハイスミス太陽がいっぱい

太陽がいっぱい (河出文庫)

太陽がいっぱい (河出文庫)

 

 

目次

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あらすじ

●学歴家金家族無しのアメリカ人詐欺師の青年が、頼まれてイタリアの港町で生活している金持ちの知人を訪ねる
●いろいろと羨ましくなったからそいつを殺して成り代わって
警察に追われつつ散財しながらヨーロッパ中を旅行する話

 

ヨーロッパ旅行記としても良い

話の筋のメインとは違うが、旅行好きとしてはかなり好きな小説。
後半、警察に追われる主人公が、アメリカ→イタリア・フランス中心のヨーロッパをかなり詳細に旅行して回っているので、旅行記を読んでいるような気分になれて良かった。
主人公のトムは青い海と空と、歴史的な建造物が好き。

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主人公が訪れた主な先をリストにしてみた。

アメリ
・ニューヨーク

●フランス
・パリ
・カンヌ
・リヨン
マルセイユ
ナポリ
・サンレモ(滞在)
・ニース

●イタリア
マジョルカ島
・ローマ(滞在)
ナポリ/モンジベロ(滞在)
シチリア島
・ピサ
ヴェネツィア

ギリシャ

主人公が滞在している場所は、かなり観光して回っているので描写が細かく、おすすめ。

 

好きなところ

途中まで(知人を殺すまで)は、イケメン同士で顔がそっくりな2人の繊細なやりとりが見所。

一方は金持ちで気まぐれで、もう片方は貧乏で空気を読んでノリだけで生きてきた男だ。

 

昭和の少女マンガ的な同性愛的な気持ちを自覚し欠けて揺れる主人公と、イタリアの青い海と空。

風と木の詩 (1)

風と木の詩 (1)

 

気まぐれな友人に振り回されて嫉妬や羨望などの感情に振り回される主人公が良い。


話が面白いのは殺してから

展開が大きくなるのはイケメンの知人を殺すしてから、徐々に嘘が大きくなってくる辺り。

 

更に犯罪を重ねる羽目になって綻びが出始めたり、警察に目を付けられ、探偵が雇われだして追いつめられるあたりのミステリ感がとても良い。
けっこうボロを出してくる天才詐欺師トム(主人公)がいつ捕まるのかドキドキする。


最後の結末は予想していなくて、リードがすごく上手かった。犯罪者目線のミステリではかなり好きかも。


原題は『The Talented Mr.Ripley』

邦題は『太陽がいっぱい

どちらのタイトルも読後しっくりきた。


映画はアラン・ドロン主演。

太陽がいっぱい 【特典DVD付2枚組】

太陽がいっぱい 【特典DVD付2枚組】

  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: DVD
 

 

ミステリ的にも海外旅行記的にもおもしろいので、未読の方はこの機会にぜひ。

太陽がいっぱい (河出文庫)

太陽がいっぱい (河出文庫)

 

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合わせてどうぞ

 

海外が舞台の小説まとめ

冷静と情熱のあいだ』イタリア旅行記

 

お題「#おうち時間

 

Amazon殿堂入り!海外が舞台のおすすめ長編小説4選

自粛で家にいることが増えて、気になっていた本を片っ端から読んでいる。

今回は、この期に長編だが面白すぎて止められなくなる海外の小説を4冊まとめた。

いずれもアマゾンで殿堂入りしている折り紙付きの名作だ。

 

海外が舞台なので、外に出られないこの時期に旅行気分も味わえるし、読後の満足感は保証できる。

ぜひこの機会に。

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目次

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『ミレニアム』: スウェーデン ★4

スティーグ・ラーソン

スウェーデンストックホルムが舞台の中心。街中の実際の地名や描写が詳細なので、海外旅行が好きな人にもお勧めしたい小説。

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本書4ページより。

 

全6巻、それぞれ上・下巻。3巻で著者が亡くなり、4~6は別な作家が引き継ぎテイストが変わっているので、個人的には1~3巻だけで良いと思う。

2の序盤でグラナダ島(南米)のリゾート地も。

アマゾンでの評価は★4

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4巻まで映画化され、1はダニエル・クレイグ主演で有名な「ドラゴン・タトゥーの女」。

ドラゴン・タトゥーの女 [Blu-ray]

ドラゴン・タトゥーの女 [Blu-ray]

  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: Blu-ray
 

映画から入るのもアリ!

スウェーデン版とハリウッド版があり、何といってもキャラクターが全員魅力的だ。

 

女好きのジャーナリストが天才ハッカーと協力して社会問題を暴いていく話で、ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女はミステリー、

ミレニアム2 火と戯れる女はアクション、

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士は刑事物/サスペンス色が強め。

 

ヒロインのリスベットがかっこいい。

パンクロック風の全身タトゥーの見た目、高IQ、ハッキングの天才、人間に興味を示さない。

ヒーローのミカエルは女性にモテる優男だが、深い考察力を持ったジャーナリストという設定が良い。

 

著者もジャーナリスト出身なので、スウェーデンを中心とした企業の汚職、女性問題、人権問題など社会問題を絡めたストーリーが絶妙でオススメ。

 

『大聖堂』: イギリス ★4

ケン・フォレット

大聖堂(上) (SB文庫)

大聖堂(上) (SB文庫)

 

上・中・下の全3巻。

12世紀頃のイギリスが舞台の壮大な話。場所はイギリス全土、カンタベリーウェールズなど。

アマゾンの評価は★4f:id:quelle-on:20200420150410j:image

田舎の棟梁トムの、一代では叶わなかった大聖堂を設計するという夢を息子、孫が引き継いでいく中で、

トムとその息子をベースに、没落した城主の娘や優れた司教フィリップの政治バトル、

親子関係、村の侵略、盛衰、城主の没落、教会の陰謀や政治など、続きが気になって止まらなくなる。

 

『大地』中国 : ★4

パール・バック

大地 第一部

大地 第一部

 

ノーベル文学賞とピュリッツアー賞を受賞した名作。今kindle unlimited で0円で読める。

全4巻第1~3部に分かれていて、2部だけ2冊になっている。最後の巻だけ半分くらいアメリカが舞台。

アマゾンの評価は★4f:id:quelle-on:20200420125957j:image

100年以上、親から孫3代を描いている壮大な話だ。孫世代は1920年代の革命期になる。

この小説のテーマは、清朝から中華民国までの変わっていく中国の話だと思う。

 

王龍(百姓)→子供(大商人・大将軍・大地主)→孫たち(学者、革命家…)

 

1部が田舎の百姓の貧しい生活。

2部はその子どもの、中国の地方の裕福なボンボンの生活の話。

3部は革命期の都会の裕福な中国人の若者の生活の話になっている。

 

中国のイエの概念が日本と違う形で親子関係、親戚関係に影響するところが印象に残っている。

 

中国といえばの、纏足の風習も必見。

1部で王龍の妻は元奴隷で纏足していないから男から愛されないと思い、娘には纏足をして育てる。そして時代が現代に移り変わり、孫世代の娘たちは纏足が時代遅れだとしなくなる。

 

中国の喧噪、田舎と都会の生活、アヘンや社会問題など、1900年前後の中国の生活を詳細に描写していて、これを書いたのが100年近く前にアメリカ人の女性なのだから驚く。

 

古い・難しいイメージがあったが、読みやすくものすごく面白い。世界中で読まれ続けてきただけある。

 

『ケインとアベル』: アメリカ★4

ジェフリー・アーチャー

ケインとアベル (上) (新潮文庫)

ケインとアベル (上) (新潮文庫)

 

上・下で終わりだが、ロスノフスキ家の娘

が続編になっており、絶対合わせて読んだ方が面白い。ケインとアベルの娘と息子の話である(ロスノフスキはアベルの姓)。

アマゾンの評価は★4

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本小説は私がこのブログで人から薦められて読んで以来、ずっと好きな小説不動の上位にある。間違いなく人に薦められる小説。

 

アメリカの大手銀行の跡取り息子のケインと、元ポーランド貴族で一族皆殺しから生き延びた、アメリカに移民として渡ってきたアベルの話。

家族の話でもあり、ビジネスゲームの色が強い。古き良きアメリカンドリームや、性格の違う2人の男の恋愛の部分もおすすめ。テンポがよく読みやすい。

生まれ育ちが裕福な紳士ケインと、貧困から身一つでビジネスを興し、ケインのライバルまでのし上がったアベルの正反対なキャラクター設定が良い。

 

見た目も性格も育ちも真反対のケインとアベルの幼少期~壮年期の人生の対比からの、ケインの息子とアベルの娘の話は必見。

『ケインとアベル』ではまだ子どもだったアベルの娘フロレンティナは、才色兼備にビジネスの才能を受け継ぎ、続編『ロスノフスキ家の娘』でアメリカ初の女性大統領に立候補する。

マーシャル・プランなど実際のアメリカ政治に絡めた形で、アメリカの政治家同士の票集めの水面下での戦いなど必見。

読後は、ニュースなどでトランプの行動など少し違った視点で楽しめるかも。

 

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どれも海外感とストーリーどちらも世界中から評価され、映画かもされている名作。どれも半徹夜しながら読んだ本なので、ぜひ一巻からでも手に取ってみてほしい。強くおすすめできる小説です。

あなたにかかっている呪いはなんだろう『1Q84』村上春樹

私の村上春樹観は、この5年程でツンデレJKのごとき変化を遂げている。

こんなの絶対無理やん

え…こいつ面白いかも

(今) 私春樹のこと好きかも

 

 

目次

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このコロナの流行で外に出られず暇なので、長編だからと先延ばしにしていた『1Q84』を読んだ。

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

  • 作者:春樹, 村上
  • 発売日: 2012/03/28
  • メディア: ペーパーバック
 

 

村上春樹を読むのは久々だったのだけど、登場人物全員の「持てる者の悩み感」が懐かしかった。

 

6巻全て飽きずに読めた

面白くてテンポもよく飽きないので、ちまちま10日くらいで読めた。

1章が短く、短編感覚で読み通せるということが理由の1つだと思う。


6巻まであるので長く感じるけれど、各章は10ページ程度。各巻薄いし区切りが付けやすいので、通勤とかで読むのに良いかもしれない。

大部分はヒーローの天吾とヒロインの青豆の話が相互に進行する形式で、それぞれの状況が交錯しつつ進む。各章は10ページ程度。

 

それから各章のタイトルが好き。
村上春樹文の特徴といえば外文をそのまま翻訳したかのような文体だが、今回もちゃんと村上春樹である。

 

5巻の目次。

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意味不明だが、読めばしっくりくる。章の名前自体を伏線にしてしっかり回収してきたりして、ショートショート→長編のような趣があり、とても好き。

 

クライマックスや切迫したシーンの盛り上げ方や、情景描写のメリハリの付け方などなど、話に引き込むのが上手い。

 

あらすじとテーマ「呪い」について

話の内容としてはシンプルにボーイミーツガール系で、運命の人に会いたい話である。

現代の1984年と、パラレルワールド的な1Q84年を登場人物が行き来する。

 

登場人物はそれぞれ家庭に問題があり、それぞれコンプレックスを抱えてひっそり?生きている。「呪い」が大きなテーマになっている。


表面的には何にも不自由していないが欠落を抱えて生きている、ただ1人からの愛を除いては。みたいな村上春樹っぽい内容である。
(正直後半はもうええっていい加減会おうやの気持ちになった)

 

いつもの村上春樹

村上春樹の小説の登場人物って、基本的に金と異性関係と仕事と容姿に不自由してない。
人間の悩みってだいたいそこなのに。


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https://ferret-plus.com/5369より

自己実現理論 - Wikipedia


貧乏地味非モテ陰キャの私からは、彼らは話のスタート時点から一生到達できないかと思われる地点にいる。ゆえにファンタジー感が強くて楽しく読める。


そもそも、運命の人なんてまさに不要不急である。
出会わずに一生を終える人がたくさんいたりする以上、別にあってもなくても良いレベルのものなのだ。それに人生をかけられる上位者感。


村上春樹は多くの日本人から共感を集めている作家だが、上の図でいえば、4→3段階層目くらいの人に憧れ的な意味や悩みの段階が刺さると思われる。つまり日本人の大多数である中流階級に。

 

幼少期の主人公たちは恵まれない家庭環境のもと安全の欲求で苦労していて、そこがコンプレックス「呪い」の部分になっている。

 

自分にかかっている「呪い」の存在

ここまで書いて思い出したが、最初に自分は貧乏地味非モテ陰キャと書いた。
実際学生時代はそうで、毒親にメタメタにされた自己評価の低さや、社会経験の不足に20数年苦しんだ。

 

今現在の私は、客観的に見れば違う。


普通程度の給料がもらえる会社で働き、見た目も普通の範疇であり、コミュ力は高くないが恋人も定期的におり、端から見るとまさに1Q84の主人公くらいの地点にいるのだ。

 

なのにセルフイメージが、そんなふうに無意識に書き出してしまうほどにずっと貧乏地味非モテ陰キャ
それが私にかかっている呪いである。

 


まんまとそれぞれの人物に少しずつ感情移入しながら読み込んでしまっていたことに気付き、少し悔しくなった。

私はちゃんと村上春樹に共感するいっぱしの中流階級になれたんだな、とも思った。

 

 

未読の方は、この機会にぜひ。

それぞれに感じることがあると思う。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本
 


元ネタ

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)