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読書系女子のあれこれ

旅行と本が好き。面白かった本の考察とおすすめです。

あなたにかかっている呪いはなんだろう『1Q84』村上春樹

私の村上春樹観は、この5年程でツンデレJKのごとき変化を遂げている。

こんなの絶対無理やん

え…こいつ面白いかも

(今) 私春樹のこと好きかも

 

 

目次

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このコロナの流行で外に出られず暇なので、長編だからと先延ばしにしていた『1Q84』を読んだ。

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)

  • 作者:春樹, 村上
  • 発売日: 2012/03/28
  • メディア: ペーパーバック
 

 

村上春樹を読むのは久々だったのだけど、登場人物全員の「持てる者の悩み感」が懐かしかった。

 

6巻全て飽きずに読めた

面白くてテンポもよく飽きないので、ちまちま10日くらいで読めた。

1章が短く、短編感覚で読み通せるということが理由の1つだと思う。


6巻まであるので長く感じるけれど、各章は10ページ程度。各巻薄いし区切りが付けやすいので、通勤とかで読むのに良いかもしれない。

大部分はヒーローの天吾とヒロインの青豆の話が相互に進行する形式で、それぞれの状況が交錯しつつ進む。各章は10ページ程度。

 

それから各章のタイトルが好き。
村上春樹文の特徴といえば外文をそのまま翻訳したかのような文体だが、今回もちゃんと村上春樹である。

 

5巻の目次。

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意味不明だが、読めばしっくりくる。章の名前自体を伏線にしてしっかり回収してきたりして、ショートショート→長編のような趣があり、とても好き。

 

クライマックスや切迫したシーンの盛り上げ方や、情景描写のメリハリの付け方などなど、話に引き込むのが上手い。

 

あらすじとテーマ「呪い」について

話の内容としてはシンプルにボーイミーツガール系で、運命の人に会いたい話である。

現代の1984年と、パラレルワールド的な1Q84年を登場人物が行き来する。

 

登場人物はそれぞれ家庭に問題があり、それぞれコンプレックスを抱えてひっそり?生きている。「呪い」が大きなテーマになっている。


表面的には何にも不自由していないが欠落を抱えて生きている、ただ1人からの愛を除いては。みたいな村上春樹っぽい内容である。
(正直後半はもうええっていい加減会おうやの気持ちになった)

 

いつもの村上春樹

村上春樹の小説の登場人物って、基本的に金と異性関係と仕事と容姿に不自由してない。
人間の悩みってだいたいそこなのに。


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https://ferret-plus.com/5369より

自己実現理論 - Wikipedia


貧乏地味非モテ陰キャの私からは、彼らは話のスタート時点から一生到達できないかと思われる地点にいる。ゆえにファンタジー感が強くて楽しく読める。


そもそも、運命の人なんてまさに不要不急である。
出会わずに一生を終える人がたくさんいたりする以上、別にあってもなくても良いレベルのものなのだ。それに人生をかけられる上位者感。


村上春樹は多くの日本人から共感を集めている作家だが、上の図でいえば、4→3段階層目くらいの人に憧れ的な意味や悩みの段階が刺さると思われる。つまり日本人の大多数である中流階級に。

 

幼少期の主人公たちは恵まれない家庭環境のもと安全の欲求で苦労していて、そこがコンプレックス「呪い」の部分になっている。

 

自分にかかっている「呪い」の存在

ここまで書いて思い出したが、最初に自分は貧乏地味非モテ陰キャと書いた。
実際学生時代はそうで、毒親にメタメタにされた自己評価の低さや、社会経験の不足に20数年苦しんだ。

 

今現在の私は、客観的に見れば違う。


普通程度の給料がもらえる会社で働き、見た目も普通の範疇であり、コミュ力は高くないが恋人も定期的におり、端から見るとまさに1Q84の主人公くらいの地点にいるのだ。

 

なのにセルフイメージが、そんなふうに無意識に書き出してしまうほどにずっと貧乏地味非モテ陰キャ
それが私にかかっている呪いである。

 


まんまとそれぞれの人物に少しずつ感情移入しながら読み込んでしまっていたことに気付き、少し悔しくなった。

私はちゃんと村上春樹に共感するいっぱしの中流階級になれたんだな、とも思った。

 

 

未読の方は、この機会にぜひ。

それぞれに感じることがあると思う。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2009/05/29
  • メディア: 単行本
 


元ネタ

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)