読者になる

読書系女子のあれこれ

旅行と本が好き。面白かった本の考察とおすすめです。

美人に比べてイケメンが少ないのはなぜなのか/茂木健一郎 『化粧する脳』

「美人や可愛い女って多いけど(それに比べて)イケメンは少ない」


定期的にこんな話を見聞きしている。
私も実際、容姿が一定値以上の女性より一定値以上の男性は少ないと思う。
やっぱり女性には化粧があるし、美容に対する意識は間違いなく女性の方が高い。


実感としても「自分の見た目を気にしない」人間というのは、女性より男性の方が多い。
これはつまり、「見られること」に対する意識の差があるのだろうと思う。

「顔が変わる」ことによる人生の違いがテーマの漫画もたくさんあるが、やはり主人公は女性が多い。

累(1) (イブニングコミックス)

累(1) (イブニングコミックス)

他人の顔を乗っ取る口紅を手に入れた不細工な女の子の話『累』


愚者の皮 (上) (ぶんか社コミックス)

愚者の皮 (上) (ぶんか社コミックス)

貧乏な生まれから玉の輿に乗った心の綺麗な美女が、事故で麻痺した顔面を整形する。ヤブ医者にかかり失敗し、見るも無惨な顔になり人生が転落する話『愚者の皮』

どちらも、本人の中身や性格は変わらないのに、顔が変わることによって周囲の評価が変わることがテーマだ。




なぜ男性には、美容や自分の見た目に対する意識が女性ほど育たないのか?


そこを脳科学と生物の進化の点から書かれているのが脳科学茂木健一郎『化粧する脳』である。

化粧する脳 (集英社新書 486G)

化粧する脳 (集英社新書 486G)

そしてこれは「女子のいうかわいい娘と男のいう可愛い娘が違う」問題とイコールだと思う。
f:id:quelle-on:20160721224003j:plain
この画はまさにそれを表している。
(元ネタがどこかわからないので、とりあえずネオニュース☆からお借りした)


『化粧する脳』を参照しながら「美人よりイケメンが少ない問題」と「男子と女子のカワイイが違う問題」について考えてみる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

見た目の美は有利に子孫を残すため?

f:id:quelle-on:20160722000846p:plain
人間は女性の方が容姿の美を追求する傾向があるのだが、一方で、鴨やクジャクはオスの方が美しい色の羽を持っていてメスの方が地味だ。

美しい尾羽は良くも悪くも目立つ。
外敵に狙われやすくなる=死の確率が上がるからだ。

そのリスクと引き換えにしてもオスたちが手に入れたいものは何かというと、それは繁殖の可能性である。

より形の整った、美しい羽をもつオスがメスに選ばれて子孫を残す可能性を得、それが有利な形質として遺伝していく。

この場合、クジャクやカモはオスが選ばれる立場だ。
人間だと、これが逆転する。

この例のクジャク同様に女性が容姿を磨くことになる。

選ばれる方が美しくないとダメ

f:id:quelle-on:20160722000939p:plain
生存戦略にはおおまかに分けて能動と受動の2通りの方法がある。

「力」で生きのびる方法と、「美しさ」で選ばれて生き残る方法

人間に当てはめると、男性は社会的地位や権力・金などを求める傾向がある。

そもそも美は権力と結びつきやすい。
金持ちになると古今東西、美男美女を身辺に侍らせたり美術作品を収集するなど、力をもったものは珍しい美を求めがちだ。


強い性に選ばれる側になると、美を磨くことがより有利に生き残る戦略となる。
女性は一般的に選ばれる側であり、美を磨くことは生存戦略として有効になる(=美人が増える)
男性は、選ぶ側として権力や金を追求する。

男性脳と女性脳の違いが差を生みだした

f:id:quelle-on:20160722001211p:plain
男性脳は、一般的に論理思考に強く、女性脳は共感能力に優れているといわれている。


男性脳は抽象・論理思考が強く、システム構築に優れている。
また男性は、一般的に選ぶ側の性(そうだと思いこんで)を生きている。

ともするとそれは受動的な、影響されやすい生き方に対することへ危機感を覚えがちらしい。
つまり「他者に同調して自分を変えること、他社の視線を気にして自分を認識すること、自分が変わってしまうこと」に対して危機感を覚えがちだという。

だから男性は化粧に対して抵抗がある人が多いのではないだろうか。


女性は、一般的に情緒が豊かで共感性が高いということになる。

女性は選ばれる側の性として、見られることの欲望をみずからの報酬として、化粧する。

女性の方が対人関係を意識して生きやすく周りの人と同調し、他社の視点を自己の成り立ちに反映させることを大事にしながら、社会と折り合いをつけて生きていこうとする傾向があり、「見られること」に対する意識が高い。


女性は特にコミュニケーションの取りやすさや周囲の価値観の同調を表した顔を「美人(カワイイ)」と認識しやすいというところで、再び「女子のかわいいと違う問題」に入る。

改めてこの絵を見てほしい。
f:id:quelle-on:20160721224003j:plain
左の女子がカワイイと思う女の子が表しているのは、つまり「協調性が高い」と「コミュニケーション/表情の豊かさ」だ。

男性の可愛い(美人)は、ほぼ化粧もせずに髪も束ねただけ、服装もTシャツを着ただけ。
注目されるのはその顔の造形であり、誰もが美人と認める顔立ち
であることだ。

まとめ

●女性はまだ選ばれる側の性別という世間の認識があるため、選ばれるために見た目を整える人が多い

●女性脳にくらべて男性脳の方が「他人に合わせて見た目を変えること」に対して抵抗感が大きい。
女性の方が、化粧や服装など見た目が変わることに対して抵抗が少ない


美人に比べてイケメンが少ないことの理由を、『化粧する脳』から考えてみた。

化粧する脳 (集英社新書 486G)

化粧する脳 (集英社新書 486G)


美人が実は平均顔という有名な仮説があるが、それは、「多数の人にとって親しみやすく、感情豊表現が読み取りやすい顔」ではないかと。
ここで重要なのは、全てのパーツが平均値に近いということ。


だから、化粧は主に口や目を強調するものになる
目や口は、感情を最も読み取りやすいパーツだから。


美というものは、案外相対評価だったりする。「みんながそれを良いというから」という理由で、価値が高くて珍しいから欲しくなるという感じ。


そして、男性脳と女性脳の違いが見た目に出るから、男性と女性の「カワイイ」は違うのだ。

累(1) (イブニングコミックス)

累(1) (イブニングコミックス)

愚者の皮 (上) (ぶんか社コミックス)

愚者の皮 (上) (ぶんか社コミックス)