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読書系女子のあれこれ

旅行と本が好き。面白かった本の考察とおすすめです。

イタリア一人旅/『冷静と情熱のあいだ』 聖地巡りしてきた(フィレンツェ編)

 前に書いた通り、ヨーロッパに20日ほど一人旅してきました。ドイツを下って、ヴェネツィアからフィレンツェへ。
旅に出るきっかけとなったのが、フィレンツェが舞台の辻仁成の小説『冷静と情熱のあいだ』。

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フィレンツェの街が様々な意味を持って象徴され、描かれているこの作品。読んでいて、その中に入ってみたいと強く思っていて、今回やっと実現できた。

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

  • 作者:辻 仁成
  • 発売日: 2001/09/01
  • メディア: 文庫
 

 冷静と情熱のあいだ を読んだことのある人は地名やシーンに、あったあった!と覚えがあると思う。
もし読んでいなくても、旅行記として楽しんでもらえたら。映画では竹野内豊が主人公。

 

 

 あらすじ

順正・・・フィレンツェで絵画修復師*1として仕事をしている。

 

・アオイ・・・大学時代、順正が付き合っていた運命的な女性。読書家で大人っぽい。ある事件が原因で別れたが、順正の心に残ってずっと忘れられない。
お互いが「相手はもう忘れただろう」と思っている、アオイの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモで待ち合わせする、という約束が物語のキーポイント。


・ジョバンナ先生
・・・順正の働く工房のトップで、順正の母親的な存在。

※映画とオーバーラップしている場所もあります。

 

 

 フィレンツェの空

この街はいつだって光が降り注いでいる。

 小説の最初の一文はこれでした。読んだ瞬間、一瞬で古都に快晴の青空が広がる光景が浮かんできたのが印象強くて。

「空」はキーワードのひとつで、本当に、空が広くてとてつもなく青い。

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「青空はどこまでも高く、しかも水で薄めた絵の具で描いたように涼しく透き通っている。」(p.9)

アルノ川の対岸より。

 

 

街並み

フィレンツェの街は、物語の中で、フィレンツェは過去の象徴として描かれている。ずっと見てみたかった。古い街並みは好きです。

「十六世紀以降、時間を止めてしまった街。まるで街全体が美術館といった感じ」

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シニョーリア広場

 

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 こんな普通のホテルの入り口を覗いてみると、平気で壁画が残っている。そんな街です。その辺を歩いていると、辻なんかに普通に古い宗教画が壁にはまっている。

 

 

ドゥオモ

まずは大本命のドゥオモへ。観光の中心はここで、駅から徒歩10分ほど。

街の中心、ドゥオモのブルネッレスキ作のクーポラ*2

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 「半球状の円蓋クーポラは、スカートを膨らませた中世の貴婦人を見るようで微笑ましい。」(p.10)

 表現力がさすが辻仁成先生である。

 

ドゥオモの袂に立ち、大聖堂の壁面沿いに空を見上げるのが順正の日課

 

こんな感じ?

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このサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂は、本文中に書かれているとおり、「威厳と優雅さに溢れ、見上げる者を圧倒」(p.10)された。

あまりに大きく、全面に施された美しい石の装飾は何時間でも見ていられそう。

別名花の聖母教会

 

景色を独り占めしたかったけれど、周りが観光客にお土産売りでごちゃごちゃなので、それどころではない…

 

物語の中で、ドゥオモは街の中心・物語の目的地として何度も描かれます。

 

 

ポンテ・ヴェッキオ

「ポンテ・ヴェッキオの先に、夕焼け色に染まるドゥオモのクーポラを見ると、なぜだろう、安心するんだ。」(p.10)

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ポンテ・ヴェッキオは街を南北にはしるアルノ川に架かっている、フィレンツェ最古の橋(1345年再建のもの)

 

その夕焼けの風景が見たくて、滞在全日17時くらいにポンテ・ヴェッキオでスタンバイしていたものの、幸か不幸か毎日天気が良すぎ、夕焼けは一度も見られなかった。

 「そんな心地よい夕刻は、ついドゥオモまで大股で歩きたくなる。」(p.10)

ドゥオモからポンテ・ヴェッキオは10分もかからない距離。

 

本文から察するに、順生の家はポンテ・ヴェッキオを挟んでアルノ川の、ドゥオモ側の対岸かな。

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 アルノ川を渡り、東に進むと急な坂道に入る。高台です。(正面のトンネルをくぐった先がアルノ川)

 

順正の働く工房はヴェッキオ橋の傍ら、とある。

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これがポンテ・ヴェッキオの全体だが、この橋を通ると、最初橋に入った感覚が持てなかったくらいに両横に建物が並んでいる。

一大観光地なので橋の東西もお店がびっしり。

工房なんて入る隙間、あるのかな?それか10年前はそうではなかったのか。

 

遠くから見ると技術の粋を尽くした感があり、昼、夜と違う顔を見せてくれて、何度でも行きたくなる。

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ポンテ・ヴェッキオ(ポンテ=橋)を渡り・・・

 

 

パラッツォ・ピッティ

 

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  「工房の前を登るグイッチャルディーニ通りを50mほど辿ると、パラッツォ・ピッティの重々しい立面(ファザード)が姿を現す。」(p.47)

 

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グイッチャルディーニ通りは、本当にただの観光通りでした。

 

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 パラッツォ・ピッティ。

フィレンツェでも名高い大商人ルーカ・ピッティが十五世紀半ばに作らせた私邸だ。」(p.47)

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入り口から入ると中はこんな感じ。

順正は、この中にあるパラティーナ美術館の、ラファエロ作「「大公の聖母」がお気に入りで、何度も観に行っていた。

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聖母マリア - Wikipedia

写真が上手く撮れなかったのでwikiより。意外と小さかった。

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貴重な絵画が飾られた部屋がこれでもかと続く。絵画が好きなら絶対にお勧めしたい。中心地から外れるので、あまり混まずにゆっくり観られます。

 

 

サン・マルコ修道院

順正のお気に入りといえば、サン・マルコ修道院所蔵のフラ・アンジェリコ作「受胎告知」」も外せない。

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2階に入れるのを知らなくて見れなかった…

 

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フラ・アンジェリコ - Wikiwand

フラ・アンジェリコの美術館と呼んでいいくらいに、作品を所有」しているらしい。

 

中庭を四角く囲んだ壁面の屋根に描かれた壁画もとても良かった。

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 ボッティチェリで有名なウフィッツィ美術館レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」。

どの建物も絵画がたくさん。「受胎告知」は有名なモチーフなのでたくさん見た。

同じモチーフを見比べるのが楽しい。時代の傾向とか、もう少し知っていたら面白かったはずなので、少し勉強してから行ったら良かったなあと思った。

 

移動中も常に古い建物や絵画、像などがあちこちに。

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ジョバンナ先生中世の時代からぴたっと時間を止めてしまった街なのよ。歴史を守る為に、未来を犠牲にしてきた街。」

 

 

パニーニとカプチーノ

絶対やってみると決めていた食事!!

「誰もいない作業場で一人近くのバールで買ってきたパニーノをカプチーノで胃に流し込むのは格別だ。」(p.106)

工房は無理だが、パンとかサンドイッチはあちこちに売っている。

 

このパニーニは、ドゥオモの入り口側にある細い通りを入ってすぐのところにある行列のできるお店 i`tostoで。お昼しか空いてない。安くて美味しくておすすめ。

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4~5ユーロで巨大なトーストが食べられる!

20種類くらい味があって、これはソーセージとチェダーのチリソース。ザクッ→チーズどゅるん→ソーセージジュワァァでおいしい!

 

ドゥオモの横のベンチに座って食べると2倍おいしい。

厳密にはトーストなのだけど、パンに具を挟めばパニーニなのでいいでしょう。

イタリアのカプチーノもさすがに美味しかった。

 

 

上からみたフィレンツェ

 

アオイと順正約束の地、ドゥオモ。

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アオイ「私の30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモのね、クーポラの上で待ち合わせするの。どお?」(p.99)

 

ここが大本命で登るはずだったのに、まさかの行く予定だった日程全て工事で立ち入り禁止。私は一体何をしに行ったんだ。

旅行の教訓。一番行きたいところは行けるときに行くべし。毎日めちゃくちゃ並んでて、つい最終日付近にもっていっちゃったミス!

 

悔しいので、代わりにシニョーリア広場に面したヴェッキオ宮の塔に登る。

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入り口に ダヴィデ像のレプリカがある。

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アオイ「何百段の階段で汗を流して必死で登り切った後に待っているフィレンツェの美しい中世の街並は、間違いなく恋人たちの心を結びつける美徳があるんだそうよ」

人1人くらいの狭い階段は、ドゥオモも一緒。ドゥオモの階段はらせん状だそう。

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私はぼっちで行きました…

 

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 上から見る風景は、小説で描かれていた通りで、茶褐色の屋根が立ち並んでいる。

全方角から見ることができますが、ドゥオモを正面に構えた景色が圧倒的に壮大。

 

ドゥオモからだと当然ドゥオモが見えないので、ある意味これで良かったのかも。

 

ちなみに美術館との共通チケットで入ると美術館も行けて、壮麗な絵画や装飾は本当に見る価値がある。予想を上回る素晴らしさ。

 

綺麗に修復されたものや修復途中のもの、最後の修復は何百年も前なのでは、と思うくらい古いのが共存していて、順正の仕事・絵画修復を街中の空気で感じることができた。

 

 

サンタマリア・ノヴェッラ駅

小説の最後は、順正がフィレンツェの中心駅サンタマリア・ノヴェッラ駅でユーロスター(特急)に乗るシーン。

改札を抜けると、ホームにユーロスターは横たわっている。

「新しい百年か」
大きく深呼吸をしてからユーロスターのタラップに右足をかける。

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写真のこれは多分ユーロスターではないし、駅に改札も存在しなかったたけど、気分のみ。

 

 

フィレンツェ冷静と情熱のあいだ blu』に出てきた風景を見るのは、私の人生の目標のひとつだった。夢が1つ叶って、忘れられない思い出になった。

 

今度は実際に見た記憶と共に、『冷静と情熱のあいだ』を、もう一度読み直そう。

 

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

  • 作者:江國 香織
  • 発売日: 2001/09/20
  • メディア: 文庫
 

連作の江國香織版はアオイが主人公で、舞台はミラノ。

 

映画は竹野内豊がイケメン。ロケ地は本当にイタリア!!

 

冷静と情熱のあいだ

冷静と情熱のあいだ

  • 発売日: 2014/08/20
  • メディア: Prime Video
 

 

 

※引用部分は「」の太い黒字

*1:保存状態や過年により劣化した絵画に劣化が進まないよう処理したり、新たに彩色を復元したり事故などで傷付いてしまったものを元の状態に復元する技術職。

*2:半円球のドーム状の屋根のこと