読者になる

読書系女子のあれこれ

旅行と本が好き。面白かった本の考察とおすすめです。

で、あなたの名前の「音」が与えるイメージは?サブリミナル効果と『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』

ー名とは、呪である。(『陰陽師』より)

 

マイ、ナナミ、アスカ、エリカ、リナ、マリカ、カズミ・・・

名前。誰しも意味を与えられてもっているもの。

日本語というのは、アルファベットなどと違って、(漢)字がそのまま意味を表す言語だ。子どもに名前を付けるときは漢字の意味を元に名前に意味を付けていくパターンが多いと思います。

名前の 漢字は文字を見ないとわからない。

 「かなちゃん」なら、香菜なのか、加奈?佳那?佳奈?

上記の4つに使われている漢字でそれぞれ意味が違ってくるはずですが、会話で呼び合うときは音しか伝わりません。

 

会話する中では特別話題にしない限り、その名の意味は不明なまま「カナ」という音のみで認知されるわけです。

 

では、その音が象徴するモノに対して何かイメージを与えたりするのか?

というのを「言葉の音が人に植え付ける印象・サブリミナル効果の話でこの本から。

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか (新潮新書)

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか (新潮新書)

 

発音のイメージという意識したことのない部分が面白かったので、雑学的にお勧め。

日常やビジネスなんかでも、頭に入れておくとどこかで「名づけ」のシーンで役に立つ日がきそうです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

柔らかい書き方で読みやすいですし、新書にしては軽め。

「発音・発生の仕方」とその音のもつイメージ

 日本語の擬音語や擬態語は日本語で育たないと感覚的な理解が難しいものとされています。トロトロ、など同じ言葉の繰り返しで表現するのは多言語ではあまりみられない。

日本語は母音+子音の組み合わせで発音されますが、それを例に挙げて発音の口周の動き音のイメージの箇所で今まで意識していなかったけど、確かに!と思ったところがあって。

さわりの4つだけ、箇条書きでまとめてみました。

 

 B音

発声の仕方・・・閉じた唇から溜めた息を放出させ、両唇を振動させる。

質感・・・唾の飛ぶ発声の仕方のため、湿度感・粘性が高い

イメージ・・・膨張と放出、うるささ、賑やかさ。パワー、増大、分散。膨張+放出+振動は、男性からみた生殖のイメージ

膨張:ボンボン、ビンビン、ブツブツ

力強さ:バンバン、バリバリ、ビシビシ

増大:ボウボウ、ボサボサ、バサバサ

分散:バラバラ、ビリビリ、ボロボロ

粘性:ベタベタ、ベトべト、ボチボチ

 S音

発声の仕方・・・舌の上を滑らした息を歯に当てて、歯で擦るようにして出す

質感・・・舌を滑らせることで適度な湿感が生まれ、歯の隙間から抜ける息は乱気流となり空気をはらむ。小さい摩擦と滑るイメージから軽く擦る動き

イメージ・・・空気間のある表面、風、爽快感、スピード感

例:サンサン、サラサラ、スルスル、ソヨソヨ

 

K音

発声の仕方・・・喉の奥を固く締めて、その喉に空気をぶつけてブレイクスルーさせる

質感・・・緊張、硬さ、力、口腔内の空気の滞在時間が最も少ないので、最も乾いている

イメージ・・・金属など密度が高く硬い無機質の表面、乾いた性質、転がる、緊張感、尖ったもの

例:キラキラ・カンカン・コロコロ

 

T音

発声の仕方・・・上あごに舌の一部を密着させ、そこに強い息をブレイクさせる。いったん上顎と舌との空間に唾交じりの空気を閉じこめ舌でふたをして息を押し出す。

質感・・・粘性が高い、Kほどではないが硬い

イメージ・・・粘性の高い液体、照り、中身が詰まったイメージ

 例:タラタラ・トロトロ・チカチカ・チャプチャプ

 

H音

発声の仕方・・・舌の付け根周辺をほっこりと開け、器官から出てくる息を一気に口元まで運ぶ。喉壁と息の摩擦で起こす。

 質感・・・息が物理抵抗を受けないので、暖かさの質をもつ。*1母音によっては(i・u)口腔内に息がぶつかる過程で発音直前で冷たくなるので、暖冷両面の激しさをもつ。乾いた音でもある。

 イメージ・・・暖かなリラックス感、静かなスピード感、鋭い感覚
例:ヒラヒラ・ホカホカ・ヒリヒリ・ヒュウヒュウ・ホロホロ

 

 発音してみると確かにそうで、どんな風に口を動かしているか、それがイメージに連結しているなんて考えたことがなかったから、かなり印象に残ったんですね。

具体例は本当に例しか書きませんでしたが、これは?と思うものでも、いろいろと説明がされているので本書には詳しく書かれています。

 

もちろん、繰り返しの二文字なので最初の音のみ書きましたが、次の音の影響も抜かせません。

コロコロ、ならK音とR音+母音Oですから。それぞれ効果があります。

このような音の組み合わせによって、言葉全体のサブリミナル・インプレッションが生まれるのです。

 

たとえば、「ひろこ」なら

Hi=暖かい息が口元で急速に冷却される。火のような熱さのHと、それに氷のような冷たさを加える i から、鋭いカリスマ性

Ro=舌をはじく強さRとそれに重さを与えるo に加え、質感の繰り返し*2に使われる=永続的な暗示→Rは物事の理を見極める理知的なイメージ

Ko=硬く尖った、輝くイメージのKに小ささと回転のイメージを加える o

という風に。

私は鋭い知性とクルクル頭が回る・話題を提供できる人間をかっこいいなと思っていて、

少なくともそういうのがゴール地点、みたいに思っているところがあるので、半ば無意識にこの名前を当てたのかもしれません。

著者とこの本について

ゴジラガメラガンダム等、男の子が好きなものの名前にはなぜ濁音が含まれるのか。カローラ、カマロ、セドリック等、売れる自動車にC音が多いのはなぜか。

—カバーのあらすじより

 そもそもサブリミナル効果とは、潜在意識に働きかける映像や音声のはたらきのこと。

それが日常レベルでいかにモノの名前とイメージに連結しているか、言葉の音のサブリミナル効果の分析法を研究しているのが著者。

たとえば、ネーミングなんかの際に

「こちらの方が音的に華やかな感じ。」「キレがいいよね」などという意見は交わされても、なぜそうなのか、どのくらいそうなのかを語るデータをもたない。

 のが従来であったようです。それに意味付けを行っている研究といったところか。物理学、人工知能学、脳科学言語学をミックスした学問領域とのこと。

それを日常的に見る企業名やキャッチコピー、商品名、人の名前などを用いて、ブランドイメージとしての音の意味付けや印象論について書いています。

ブランドイメージと音

マーケティングやコピーライティングの世界では、その道のプロたちが感覚やセンスによってこれらを作り上げている、といいます。

もしそれがセンスだけではなく、知識である程度使いこなせたらそれは武器になるはず。 

本書の例でいくと、その一つにブランドマントラ、すなわち音の響き重視の短文で企業イメージを表すものがあります。ビジネスパートナー間で意識の統一や、CMなんかに差し込まれたりするらしい。本書で挙げられている、某社の 「Inspire the next」とかもそう。

英文としての意味は成り立たないけれど、著者の解析によると

光の粒が胸の中に飛び込んできて、やさしい閃光を発する

近未来的なイメージが浮かぶ言葉らしい。これをCMで何十回、何百回と聞かされると…?

 

企業名、商品名、キャッチコピー、果ては個人の名前など、顧客が見るたび、言うたびその商品のイメージや快適さ、信頼性が伝わるのなら有効活用できたら、強い。

他にも、「車の名前はCがいい」「女性誌はNとMから始まる名前が売れる」とか、明文化されていなかっただけでそういうのはたくさんあります。

商品名も、音の発音とイメージのところが、商品の特性に沿うように実は付けられていることも多いそう。特にヒット商品は。

まとめ

先のなぜ、の答えはC音はKと耳で聞くと似ているが、それに硬い曲線や回転、流線型のボディとエンジンの振動のイメージを優先的に引き出す音だから。ついでに、息を溜めてブレイクスルー=膨張、放出のイメージのK・C音は男性の脳を興奮させるとか。

 

音のイメージがモノや名前としっくりくるときは、イメージをモノがはっきり合わさったときなのかもしれないと考えると、この「しっくりくる」が大切なのかもしれません。そのしっくりを、分析すると得られる答えがイメージなのかも。

 

この本を読んでから、何気なく発音した擬音語とか、人の名前とか、商品名等の意味を考えるようになりました。自分が好きなものや好きな響きにも価値観が入っているのかもしれない。

普段見聞きしている言葉の印象を考えてみるのも面白いですね。

 

 

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか(新潮新書)

怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか(新潮新書)

 

*1:手を暖めるときはハ~ってやる

*2:「いる」「ある」「ひらり、さらり」など