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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

川添さんと本の交換をしてみたらチョイスが真逆で面白かった

読書 雑記

quelle-on.hatenadiary.jp

Letter from Kyotoの川添さん(id:kkzy9)と加茂川(表記は合っているのだろうか)べりにて本の交換をしてきました。

上記の記事がきっかけです。

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待ち合わせをして、加茂川へ。

川添さんはすっごい写真撮ってそうな雰囲気の方でした。(事実ですが)

京都に来るのは久しぶりで懐かしい。

お互い、京都の大学を出ているんですよね。

 

お互い本を1冊ずつ持ち寄って交換しました。

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私が渡したのが宮本輝青が散る、川添さんにもらったのが五木寛之『青年は荒野をめざす』です。

どちらも同じくらいの歳の男女の青春小説でした。両方有名作家の有名な小説。

私はなんとなく、ブログの川添さんの考え方の雰囲気に近いかなーと思って持っていきました。登場人物全員関西弁だし。

川添さんは旅行のイメージで持って来られたらしいです。

内容が真逆

どちらも、20歳くらいの男女が様々な人種の人間(肌の色のみの意味合いではない)との出会いと自分や他人の欲望、闇などと向き合い、成長していく話です。主人公の年齢も同じくらいの青年です。

なのだけど、そのベクトルが真逆。非凡の悩み⇔平凡の苦しみ、みたいな。

 

お互い会うまで何を持っていくか知らなかったはずなのに、同じような境遇の青年の真逆の内容で面白かったです。

 

以下、本の簡単なまとめと比較、感想など。

 青年は荒野をめざす

青年は荒野をめざす (文春文庫)

青年は荒野をめざす (文春文庫)

 

『青年は荒野を目指す』はなかなか前向きな話でした。

ブログの印象は「暗さ」に真っ向から向き合っている方のイメージだったので意外でした(内容はともかく話した感じも暗くなかった)。

 

ジャズでプロを目指す20歳の主人公が、大学に行くのをやめ、自分の殻を破るために主にロシアからヨーロッパ(主に北)を旅する話です。

途中で行動を共にしたり強く関わってくるの人物も、主に才能に恵まれこれから開花しようという男女。彼らが人間の欲望や暗い部分を見たり、巻き込まれたりしながら前に進んでいく、そんな感じの話だと思いました。

 

若い、まだ自分の限界と若さゆえの尖ったところ間で折り合いがつかずにいろんな葛藤をしながら自分の生き方に向かい、才能を試そうとする主人公とその仲間たち。

登場人物の中にはもう中年で既に何かの挑戦に失敗してどん底に落ちている人間も少なからず出てくるのだけれど、彼らもまた一から違う人生を、深みを加えて始めていく。

登場人物(それぞれ強烈に個性的である)の描写が良かったです。みんなそれぞれの頭一つ抜けた才能に明るさと暗さ、強さと弱さを同じくらいに持ち合わせていて。

 

 川添さんのブログの雰囲気と読んでる本からして思いっきり人の闇の部分を強調した内容のでくるかと思っていたので、意外な感じでした。

 若いときはことに、これでおしまいだなどと考えたがるものさ。だが、そうじゃない。人生は何度でも新しくなる。青春は、その人の気持ちの持ちようで、何回でも訪れてくるんだよ。

主人公が巡り、生活する各国の描写も本当にその場にいるように感じられたし、その国柄や人柄、風習、街並み、それは実際行って見て取材しないと書けないんじゃないかというような。

実際にしたのかは知らないけれど、本当に空気や匂いまで伝わってくるかという、まさに「旅」という感じ。

そこらへんのチョイスは確かにいろんな国を、それも有名観光地や明るい面だけじゃない場所も見てきたブログの感じの川添さんらしい本かもしれなかった。

振り返れば、ダークツーリズムだった - Letter from Kyoto

 

青が散る

青が散る〈上〉 (文春文庫)

青が散る〈上〉 (文春文庫)

 

*1

一方青が散るは簡単にまとめると、

・平凡な主人公が惰性で入った大阪の新設底辺大学でテニスに全力を注いで過ごす4年間の話で、

・行動を共にしたり強く関わってくるのも平凡な、あるいは一部非凡な才能があったとしても何らかの理由でそれを活かして生きられない男女。

・彼らが人間の欲望や暗闇、人生のうまくいかなさを味わいながら、それでもいろいろな経験をしながら折り合いをつけ、歩んでいく話。

 

自分自身から逃げ出せない諦めによって、平凡な人生を前に進んでいく話だからこそ面白いのだと思っています。行動範囲も狭い。大阪~三宮くらいの間しか動かない。

努力したって英才教育を受けた天才には勝てない。金持ちのボンボンと美女がくっつき、青春の思い出を抱きながらも予想される、しがないサラリーマンとして平凡な人生を生きていくであろう自分。

 

登場人物みんな好きな人には振り向いてもらえず、精神病や弱さを抱えていたり、挫折したりして、ある者は途中で脱落したりしながらもじわじわと人生を過ごしていく。

 全体的に後ろ向きだが、それでもなんとなくこれからも人生が続いていくんだ、というような不思議とけして後ろ向きではない諦観を伴った独特な雰囲気の小説だと思う。

人間の負の部分やほとんどの人が当てはまる平凡さについて、ここまで濃厚に読ませる力を持って書かれた青春小説はなかったのではないかと私は思っています。

 おわりに

どちらも青春小説としてそれぞれの面ですごく心と記憶に残る小説なので、並べてみると面白かったです。偶然のチョイスで似たような条件のそれぞれ逆方向の話になったことも。

 

自分では絶対買わなかった本だと思うから、知らない人と本を交換してみるって面白いなと改めて思いました。

楽しかったです!全然本と関係ないことばっかりしゃべってましたが、それもまた良し。

川添さんは不思議な考え方の人だなあと思っていましたが、いろいろ対面で話を聞いてみて知らなかった話とか面とかが聞けて面白かったです。印象が変わりました。

 

もし今後も気になる方がいたら、最初に貼った記事を読んだうえで、是非声をかけてくださいね。

lfk.hatenablog.com

ついでに

旅行系で私もいこうかと思っていたので、渋澤幸子の『イスタンブールから船に乗って』とどっちにしようかと迷いましたが、これはこれで面白かったですね。

イスタンブールから船に乗って (新潮文庫)

イスタンブールから船に乗って (新潮文庫)

 

 こちらも旅行記として私が最も面白いと思っている本なので、気になる方は是非。おすすめです。あまり有名だったり、メインでない観光地や本当に現地の人しかいないような場所を女一人旅してるエッセイ。

*1:アマゾンにありませんでしたが、本当は一冊で上下の内容が完結している方を持っていきました