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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

泉鏡花著 『天守物語』 の舞台・姫路城に行ってきた

姫路城の工事が今年3月に終わり、天守に登れるようになっている。
大好きな泉鏡花の戯曲『天守物語』の舞台なので、見に行きたいとずっと思っていました。

夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)

夜叉ヶ池・天守物語 (岩波文庫)

 

 なかなか遠いのでずっと躊躇していたわけだけど、今回暇ができたので行ってきた次第。

 

ブログを書くために行ったわけではないので写真を撮らなすぎて記事にするかちょっと迷ったけど、まあいいか。半分『天守物語』の布教のための記事である。

 

簡単に天守物語』についてさわっておきます。

時は封建時代、姫路城の天守五重、季節は秋。

・ゾッとするほど美しい天守の主・富姫は人ではなく、同じく人でない侍女や侍従を侍らせ白鷺城(=姫路城の別名)を統べている。

・ある日、猪苗代湖から姉妹のように仲の良い亀姫が訪ねてきて遊んでいた折、真っ白な鷹が飛んでくる。

・それを手に取ったところ、目鼻立ちの涼しく立派な青年・図書之助が城に入り込んできた。

・その鷹は人間界の姫路城の主のもの、図書之助はその殿に仕えて鷹を管理していた。

・富姫は図書之助の凛々しさを気に入り、二言三言の会話で交わし2人は恋に落ちる

・しかし、業を煮やした殿様が攻め込んできて二人は窮地に。そして大団円へ。

 話は相変わらず目新しいものではないが、泉鏡花の小説の素晴らしさはその美文にあります。

会話に至っては、花が咲くような美しさと表現だと思います。

 

さて、当の姫路城ですが、まず白鷺城の名に恥じぬ美しさでした。快晴!

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公園から中に入り、突っ切って有料エリアへ。

 

中の写真を撮ったのですが、平日の真昼間なのに人がいすぎて全く伝わらない感じのしか撮れず。複雑な城内は面白かったです。いろいろな工夫が凝らされていて、一見の価値あり。忍者屋敷のよう・・・。

ちなみに六階建てですが最上階は登れなくなっています。

 

こんなところを見つけました。逆光でイマイチだけど、窓。下が覗けて、一段高くなっている。もしかして、富姫の美しい侍女たちが遊んだのはここではないだろうか?

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ここに、話の最初に富姫の5人の侍女(これが個性それぞれで可愛い!)女郎花・撫子・桔梗・萩・葛*1やや年かさの*2が釣り糸に露を餌に秋草や花を釣る遊びをするところがある。人を喰ったような話だが、彼女たちは人ならぬものだからそれでいいのだ。


私はここが大好き。侍女たちはそれぞれの花の名に見合う美しい容姿とあり、彼女たちが風流に遊ぶ。思い浮かべると、なんと清楚な光景ではないですか。
ここの描写は、何度読んでもノスタルジックに美しい秋の光景が浮かびます。

桔梗 釣れました。

 あれ私も・・・
花につれて、黄と、白と、紫の胡蝶の群、ひらひらと舞い上がる。

 それそれ私も——なんとしおらしい。

 桔梗さん、棹をお貸しな、私も釣ろう、まことに関心、おつだことねえ。

女郎花 お待ち遊ばせ、大層風が出て参りました、餌が糸にとまりますまい。

 ああ、内廓*3の秋草が、美しい波を打ちます。

桔梗 そういううちに、色もかくれて、薄ばかりが真白に、水のように流れてきました。

 ちなみに富姫は、年齢(見た目26,27、実齢100歳以上)と身分に相応しい品と威厳のある話し方をします。

 

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周囲は公園になっているので、ぐるりと回って下から見上げる。

 

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天守入り口から見上げる。

 

ここで、富姫と図書之助が会話したと思うと胸が熱くなりました。

二人の出会い初めの問答の、このシーンが好き。

(図書之助の言葉を受けて)

富姫 すずしい心だね、その心なれば、此処を無事で帰られよう。私も無事に帰してあげます。

図書 冥加*4に存じます。

 

日本語の美しさを堪能しましょう!姫路城も!

 

余談ながら、

姫路城入口から道路を挟んだ側にお土産屋が並びます。
三軒目の和菓子屋に寄ったのですが、これがものすごく良かった。 

kineya.net


金糸梅のゼリーが最高。濃厚でほろほろ崩れる。大きい梅が入っていて、しっかりとした食べ応え。姫路城に行くなら、立ち寄るべし。

好古園

隣の好古園にもついでに寄ったのだけど、これが素晴らしく良かった。姫路城におされて若干目立たなくなっていますが、むしろ姫路城より綺麗で見応えはあります。

姫路城の天守閣へ登るチケットを買う際に50円足すだけで共通券になります。るろ剣のロケ地らしいです。見応えのわりに安い。

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◎アクセス

姫路へは、神戸三宮から阪神山陽電鉄1dayチケットを買いました。1400円で三宮ー姫路間を一日乗り降りし放題。普通に往復券を買っただけでも2000円近くなるからお得。今回は垂水(三宮と姫路の中間くらい)のアウトレット・マリンピア神戸に寄りたかったのでこれを買いました。

*1:おみなえし・なでしこ・ききょう・はぎ・くず=いずれも花の名

*2:すすき

*3:うちぐるわ

*4:みょうが=幸せ・幸運=有り難いこと