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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

(主人公に食われる)女の子たちのエピソードが映画で輝いた!ぼんやりした原作と映画の『ニシノユキヒコの恋と冒険』

映画 読書

 先の福山雅治の結婚報道で、独身で残っている同世代の人気俳優が竹野内豊くらいになってきました。友人たちの阿鼻叫喚の叫びがひっきりなしに聞こえてきます。
今回は主役のモテ男が竹野内豊で、原作が川上弘美の「モテ男とその周辺の女の子の話」の映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』より。

いつもは「この本が面白かったから紹介したい」という気持ちで本について書いていますが、今回は映画がメインです。

原作の小説自体、特に話の内容で際立ったところはなかったと感じました。
が、映画化で化けた。映画で急に良いところが浮かび上がってきたぞ、何があった、という話。

 

結論を言ってしまうと、配役とキャラのマッチングが最高。これに尽きます。

 

女の子たちの配役が豪華です。

本田翼木村文乃尾野真千子成海璃子中村ゆりか、麻生久美子阿川佐和子

ニシノユキヒコの恋と冒険(新潮文庫)

ニシノユキヒコの恋と冒険(新潮文庫)

 

小説/なかなか過激な内容の割に印象が薄かったわけ

姿よし〇〇よし。女には一も二もなく優しく、懲りることを知らない。だけど最後には必ず去られてしまう。とめどないこの世に真実の愛を探してさまよった、男一匹ニシノユキヒコの恋とかなしみの道行きを、交情あった十人の女が思い語る。

ーアマゾンのあらすじより(注意されたら嫌なので一部伏せました。要はアレのことです)

 

この話の醍醐味、というか見せ場はニシノユキヒコが短期間で関係して、フラれて、を繰り返す個性豊かな女の子たちとのエピソード。ちなみに映画では6人+1人。
それぞれとのエピソードが短編で集まっていて、構成としては好きだし面白い。ただ、原作を読んだ後の感想としては、正直あまり印象に残らなくてふわっとした感じでした。
もしかしたら、それが作風でファンにはそれがいいのかもしれないんだけど、薄くサラっと流れすぎて。

 

たとえばひたすらいろんな女の子とのエピソードを並べる系でいえば、口説く側なら井原西鶴好色一代男 』の方がハチャメチャで面白かったし、女の子のエピソードでいえば吉田修一の『女たちは二度遊ぶ』とかの方がそれぞれのインパクトは遥かに強かった。

もっとも、ニシノユキヒコも

  • 元カノと今カノがバッティング(映画:本田翼×尾野真千子
  • なのに元カノに誘われて温泉旅行に行っちゃう(本田翼
  • 女の子どうしのカップルを両方食う→それによりカップル解消(成海璃子×木村文乃
  • 女性上司に会社のデスクで襲い掛かる(尾野真千子
  • 幼い子どもを連れた既婚女性に手を出す

やってることはけっこうすごいんですよ。

それでもぼんやりとした印象に感じたのは、エピソードがそれぞれの女の子の視点でニシノユキヒコの思い出について書かれていて。エピソードは強烈なのにやけに淡白で感情の起伏の表現について、おそらくあえて「客観的に、終わったこと」として書かれているから。

全体的に淡々とした「そういえばこんなことがありました」調で、語り・記述が平坦に感じたんです。なんやかんやいい思い出にしちゃってますからね。

もっとも、 そこがニシノユキヒコの人物像を語る上での鍵ではあるのですが。

映画/配役と女の子たちとニシノユキヒコ

で、そんな過激な割に印象の薄い話が映画になると、これがけっこう良かったんです。話の筋はほぼ一緒で別にどうというわけでもないんだけど、ああ、なんか良いなって。
それがなぜか、を考えてみると、配役がそれぞれの女優さんのキャラを引き立てる感じに上手に設定されていて、それで女の子一人一人の個性とエピソードが輝いて表現されているからかなと思い至りました。

 配役と女の子の設定は以下の通り。

主人公/ニシノユキヒコ竹野内豊

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※夏美の娘/みなみ中村ゆりかは、ニシノユキヒコと関係を持ったわけではないので省きます

 

わがままで独占欲が強い後輩系OLの本田翼バリキャリ上司の尾野真千子、しっとりとユキヒコを語る子持ち大人のお姉さん、麻生久美子、懐いてくる猫みたいな癒し系不思議女子の成海璃子、それをお姉さんみたいにお世話して西野に嫉妬する木村文乃

それぞれのイメージにぴったりで、ニシノユキヒコと出会って関わって、そして別れていくエピソードが何一つ不自然でないばかりか、それぞれ個性が輝いていました。

「ああ、こんな子、いそうで(でもこれだけ可愛い子は)いない」みたいな。

アマゾンのレビューを見ているとそれぞれの女の子たちに共感して観て(読んで)いる人もいるようですね。ユキヒコの「どれだけ女の子と関係しても、どうしても女の子を心から好きになれない」みたいな部分にも。

(うっかりここだけ見ていると恋愛工学を思い出してしまいました。でも、ユキヒコは息を吸うように女性を喜ばせる言動ができるのです。よって、ただ普通に生きているだけで女性が惚れてくれて関係することができるのです。女性たちが「かわいそうなユキヒコ」っつって。ちょっと気持ちが荒んできました)

 

この映画は、原作のエピソード→女優の演じ方・キャラによって始めて完成だな、と思いました。原作だけでは軽すぎるし、けどあの原作を磨き上げないとここまで見事に女の子が生きる映画にはならなかったはずですから。

 

まあ何はともあれ、自分だけを見てくれなきゃイヤな元カノOLの本田翼が浴衣で迫って来たり、成海漓子と木村文乃が女の子どうしカップルってだけでごはん三杯いけますけどね。

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)