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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

読者が作者になるとき―遅咲きの作家、森瑤子・沼田まほかる他

―作者とは、読者のなれの果てである。

山田詠美がエッセイで引用していた言葉なのだけど、作家の中には、もともと作家になるつもりがなかった人が割といる。なりたくても一直線に作家になれない人も多ければ、夢破れて就職するも巡り巡って作家に辿り着く人も大勢いる。

そんな人たちは大抵、読書家でありながらも(もっというと、若いうちから才能の片鱗を見せつけつつも)一般企業に就職したり、家庭に入ったりしながらある時期に開花する。そしてそのキャリアは、自らの著書に影響する。

 

 森瑤子は、音大出でバイオリンを専攻していた。

 卒業後広告代理店に勤め、イギリス人と日本で結婚、27歳で専業主婦になった。

父はずっと日の目をみない小説を書いていて、本人は学生時代サガン(『悲しみよこんにちは』でデビューしたのは19歳のとき)など外文に触れ、そのあまりの才能に小説の道を諦める。

37歳、鬱屈した主婦の日常を破り、デビュー作『情事』ですばる文学賞を受賞した。

情事 (集英社文庫 143-A)

情事 (集英社文庫 143-A)

 

 一貫して主婦の欲望、女の抑制と鬱屈、外国ナイズされた恋愛小説が多い。

 

沼田まほかるは、寺生まれで若くして結婚、夫が住職になるも離婚し事業を興した後、本来なら新人の若者に奨励という形で与えられることがほとんどだったホラーサスペンス大賞を60歳手前で受賞した。

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

 

 

山田詠美は別枠だが、エロ漫画家からSMクラブの女王を経て作家というのが面白い。

アメリカ系の黒人(軍人)と結婚、最近離婚。

ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨 (新潮文庫)

ベッドタイムアイズ・指の戯れ・ジェシーの背骨 (新潮文庫)

 

 黒人との恋愛や、自分の転校を繰り返した学生時代の経験を反映した思春期の少年少女のいじめ問題や人間関係などが多い。

 本人の恋愛や人生、好みを強く投影した作品が多い。転校生をずっと続けて、漫画家→基地に出入り→水商売というような、そこだけ聞くとメンヘラっぽいが、全く自分の思うとおり生きているさまが小気味よい。

 

 

午前三時のルースター (文春文庫)

午前三時のルースター (文春文庫)

 

 垣根涼介は、商社や旅行代理店勤務の経験や破産しかけた・・・もういいや、この一冊しか読んでなくてよく知らないのでwikiから引用です。

高校卒業と同時に上京し、筑波大学に入学する。卒業後リクルートに入社する。2年で退職し、1年間ブラブラしていた。次に就職した商社は3ヵ月で辞め、その次の旅行代理店には7年半勤務した]

求人広告の制作で文章やコピーを書いていたのが作家になったきっかけだった。

(略)

やがて、バブル景気の28歳の時にローンでマンションを購入したが、景気悪化や転勤で返済のメドが立たなくなり破産の可能性も見える。これではいけないと思い賞金を狙って、昼間は会社で働き、家に帰ってから小説を書くという生活を2年続けた。そうして書き上げた初めての小説『午前三時のルースター』を公募ガイドで当時賞金の最高額のサントリーミステリー大賞に応募し、読者賞をダブル受賞する。これで会社を辞めて専業作家となる。2004年、『ワイルド・ソウル』で大藪春彦賞吉川英治文学新人賞日本推理作家協会賞を受賞し、史上初の三冠受賞を成し遂げる。2005年には『君たちに明日はない』で山本周五郎賞を受賞した。

 

 

 北村薫は学生時代早大ミス研で活動するも国語教師の道を選び、40歳でデビューした。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

 

 

 

 

 適当に該当する好きな作家と最近読んだ本の作家を挙げてみた。

彼らは一見小説に直結しないような道を取りながらデビューした。そのカラーは色濃い。

 

一方で、ほぼ一直線とか、社会人経験をあまり経ずに作家になった人はどうも小説の中の人物の職業が横文字系*1に偏ることが多い。

最も、社会人経験が長い方は自分の分野の職業に偏りがちであるが。

何がどう人生に関わってくるかわからない。そして、小説とは林真理子が言うように「はるかに正直な自分が出る」のだ。

人生はわからないものだ、とも思う。

最近書籍を出版したブロガーさんなどを見ていて、ふとこんなことを思った。

*1:デザイナーとか。編集系も多い