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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

ひたすら数学が苦手って話+数学のテスト用紙に短歌を書いた作家・どくとるマンボウ先生(北杜夫)

数学が、苦手です。

高校で偏差値28をたたき出すまでに苦手です。(中学では35くらい)

数学は全部嫌いですが、私は関数がことさら苦手なのです。最近某知事の軽率な発言で何かと三角関数が話題ですが。

これっぽっちも理解できなかった。

一次関数がようやっとできるようになったのは20歳のときでした(普通の直線グラフのやつ)。

ところで、以前こんなのを見たことがあって死ぬほど共感したんですが、

九九の9の段の「今まで倒してきたボスが復活して襲いかかってきた」感

高校に入って三角関数を見たとき、

ボスを全員倒してエンディングかと思ったらもう一体最後に出てきた

みたいな感覚にとらわれました。

初代ポケモンでいうと、四天王を瀕死ぎりぎりでアイテムを使い切ってやっとワタルまで倒した!エンディングだ!と思ったらライバルが出てきてめっちゃ強い、死亡。みたいな感じです。

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言うまでもなく、ライバル=三角関数です。

高校受験をしないといけないので私もそれはそれは必死で勉強しましたし、関数も何とか大問の問1は解けるくらいまで仕上げました。二次関数でグラフがぐにゃっと曲がったときは本当にどうしようかと思いましたが。

でもね、高校に無事入ったとき、これでやっと関数とはおさらばだとおもったのです。

二次関数で十二分に難しかったですからね。これ以上はないだろうと。もうライフはギリギリ、限界でしたがそう考えてほっとしたのは事実です。

違った。三角関数出てきた。

f:id:quelle-on:20150916104823g:plain

http://kou.benesse.co.jp/nigate/math/a14m1105.html

上記のグラフはもうどれが何を表しているか全くわからなくて、「うねうねしている」以上の認知ができません。

もう無理でした。

 

これは数学苦手なやつあるあるネタだと思っていて、作家でも山田詠美は「数学が全然できなかったので数学のテスト用紙に<なぜ私は数学が苦手なのか>という小論文を書きなぐってなんとか進級した」みたいなエピソードをエッセイで書いていたし、北杜夫に至っては、さっぱりわからないので数学のテスト用紙に短歌を書いたみたいなエピソードがあります。

前置きが長くなりましたが、その短歌や必死のごまかし回答の質があまりにも高かったので、北杜夫『ドクトルマンボウ青春記』のまとめを書いておきます。

どくとるマンボウ青春記

どくとるマンボウ青春記

 

北杜夫の天才的・文学的テストの回答

 最近、珍回答系のまとめとかエピソードがよく流れてくるのですが、北杜夫はその文学的才能をフルに活用してそんなものとは一線を画したような回答を作り上げています。相当笑いました。

医学部に入る時点でかなりの学力はあることは確実ですが、「小さき疾風怒濤」の章よりテストの苦戦エピソードを抜出します。

秀逸である。

1、物理の試験

・一行も思いつかなかった「磁場」という説明問題

 たった一つ、なにか波模様の図だけが思い出された。

とりあえず私はその図を描いた。答案の余白は一杯あって、それだけではサマにならない。

そこで私は「拡大図」と書いてその図を少しく拡大した。次に「超拡大図」を書き、「超々拡大図」を書き、「超々々拡大図」を書いたら余白はなくなった

 ・苦肉の策で書いた詩

恋人よ

この世に物理学とかいふものがあることは

海のやうにも空のやうにも悲しいことだ

 

で始まる長編詩を書いた。

大変共感しました。

2、数学の試験

・意味も分からない問題に対して短歌を記す

問題を 見つめてあれど むなしむなし 冬日の中に刻移りつつ

 

怠けつつ ありと思ふな 小夜ふけて 哲学言論を ひた読む我を

 

時により できぬは人の習いなり 坂井教授よ 点くれたまへ

テストの苦肉の策回答はまだありましたが、好きだったのを抜き出しました。

最初の句は、二時間のテスト用紙をあけて一問もわからぬと悟ったあの日を思い出し、大変共感いたしました。

北杜夫と『どくとるマンボウ青春期』について

 北杜夫は精神科医の経歴をもつ作家で、父親は『赤光』などを著した著名な詩人の斎藤茂吉

本書は昭和20年代、北杜夫が松本の旧制高校から東北大学医学部に入学してからの学生生活を回顧して書いたぶっ飛んだエッセイです。

腐れ学生はいつも時代もいるものです。彼は医学部ですが。

医学部なのに数学が苦手だったり化学ができなかったり、もっぱら詩作に励んだり、中二病になってみたり、アクの強い教師と戦ってみたり、うっかり男子校で男同士の恋が流行したり、本人はもちろんのこと、周囲の人物も相当クセの強いエピソードしかありません。今より相当学校が自由ですしね。

斎藤茂吉の家族事情も息子の立場から書かれていて。繊細な詩を書くからナイーブな人かと思いきや、けっこう難物だったんですね・・・。

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これ以外にも、哲学に傾倒した時期、尊敬する上級生を捕まえて「あなたは何主義ですか。ぼくは人格主義です。」と口走ったエピソードなど、当時ならではの中二病をこじらせていて。破天荒過ぎるでしょう。

数学や理科が苦手だった人に、それから単に笑えるエッセイが読みたい人にオススメです。昭和48年の出版なので多少言葉遣いが読みにくいかもしれませんが、内容の面白さで気にならなくなると思うのですが。

 

 おそらくこちらより相当読んでいる人が多いであろう、原田宗典『17歳だった!』で笑える人はこれを読んでも楽しめるはずです。やっぱ、ぶっ飛んでる。

原田宗典原田マハ(『楽園のカンヴァス』『ランウェイ・ビート』などで有名)の兄だって、知ってた?

北杜夫しかり、文学系の血筋ってあるのでしょうね。

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

楽園のカンヴァス (新潮文庫)

 

 

十七歳だった! (集英社文庫)

十七歳だった! (集英社文庫)