私の思考と価値観を支えるもの「本棚の10冊で自分を表現する」
「本棚の10冊で自分を表現する」
死ぬほど面白そう!と思いました。単にお気に入りをあげるのではなくて、「表現する」というのがキモですね。
純粋に「自分のお気に入り」を載せている人はもちろん、個人の背景が垣間見えるような選書をしている呟きもあっておもしろい。かと思えば、10冊のタイトルを並べて詩歌っぽくしているようなものも。写し方も、横並びの写真があれば、縦積みの画像もあるなど。
いろいろな表現のし方があって面白いのだけど、この記事を見ていて選書からすごく雰囲気が伝わってきていいな、と思いました。
私は実家に置いてきているものもあるので、写真は撮れませんでしたが。
まとめ続き(前々回:あまりの素晴らしさに<思わずため息が出る>小説5選 )でアレなんですが、やってみました。
自分を表現する本棚の10冊
1『若草物語』ルイーザ・オールコット
2『故事成句でたどる楽しい中国史 』井波律子
3『放課後の音符(キイノート)』山田詠美
6『売れる会社のすごい仕組み~明日から使えるマーケティング戦略』佐藤義典
8『話を聞かない男、地図が読めない女』アラン・ピーズ バーバラ・ピーズ
10『麦の海に沈む果実 』恩田陸
1、『若草物語』 ルイーザ・オールコット

- 作者: ルイザ・メイ・オルコット,Louisa May Alcott,松本恵子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1986/12/23
- メディア: 文庫
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私の小説デビューの原点となった一冊。モンゴメリの『赤毛のアン』と合わせて小学生から今まで何度も何度も読み返しています。優しいベスが好きでした。
両方好きだけど、若草物語の上品でしっとりした感じと、四姉妹とお母さんの言葉や設定が好きでほほえましくて、こっちにしました。
若草物語は誰の訳か忘れたけど(実家にある)、赤毛のアンは村岡花子訳が一番だと思っている。
2、『故事成句でたどる楽しい中国史』 井波律子
私は「言葉や熟語の意味・成り立ち(日本語に限らず)」に並々ならぬ興味をもっているのですが、出発点はここでした。
なぜか小2くらいのときに親が買い与えてくれました。多分「教育によさそう」的なノリだったんだと思いますが、どっぷりはまり込みました。
小学生の間は半年に一回以上読んでた覚えがありますし、中学になっても、高校になっても読んでいた。
3、『放課後の音符』山田詠美
山田詠美は、高校のときに『ぼくは勉強ができない 』から入りました。「親や先生の言うことをきく真面目ないい子」してた私には相当衝撃でしたよね、これは。
いろいろな「よくわからない」制度や常識みたいなものへのただの反骨精神とか批判とかではなくて、自己完結して、そのうえで悩んでいるところがいいなと思う。そして、そういう生き方を私もしたいと思っている。
この短編集は、それぞれに出てくる女の子たちが自分の常識と価値観で「普通の女の子」との対比で輝いているのがいい。たとえわがままでも、常識に逆らったとしても。
山田詠美は小説よりもエッセイ、『ご新規熱血ポンちゃん』とかの熱ポンシリーズが好き。
4、『海神別荘』 泉鏡花
前のまとめでも書きましたが、言葉遣い、表現、日本語のリズム、全てをとって一番好きです。言葉遣いのその品の良さは敵うものがない、と思っています。たおやかな美女の描写は本当に素晴らしい。海神別荘は珍しくハッピーエンドです。
海神別荘は泉鏡花の幻想ファンタジーの最高峰だと思う。美しく凛々しい海の公子(乙姫の弟)に絶世の美女が陸から嫁いでくる、という話です。『天守物語 』も同じくらい好きですけどね。
名台詞。
美女「一歩(ひとあし)に花が降り、二歩には微妙の薫、いま三あしめに、ひとりでに、楽しい音楽のきこえます。ここは極楽でございますか。」
公子「ははは、そんな処と一緒にされて堪るものか。おい、女の行く極楽に男はおらんぞ。男の行く極楽に女はいない。」
私の日本語に大きく影響を与えたのが鏡花です。多分。
5、『中原中也詩集』中原中也
普段詩は読みませんが、いろいろと行き詰ったりへこんだときとかに詩って効くんですよね。自分の中に存分に沈み込めるというか。言葉に出してリズムが合うとなお良い。
詩人は中原中也が一番好きで、詩は「サーカス」が一番好きです。NHKでも放送されました、「ゆやゆよ~ん」のやつですね。
これも鏡花と同じく言葉のリズムと使い方が好きなのと、表現や絶妙の暗さというか、世界観が合っているんだと思います。
燃え尽き症候群で潰れてた大学時代、特によく読んでいました。あの頃はしんどかったなあ・・・。
6、『売れる会社のすごい仕組み』佐藤義典
平たく言うとマーケティングの本なんですが、考え方が私の思考の今をつくってくれています。
大学時代先輩に勧められて読んで、これはもう人生全般に応用がきくなって思ったんですよね。
事実、恋活アプリで彼氏を作ろうとしていた際にこれを片手にやっていました。
結果は、会うとこまでいった人全員に交際を申し込まれることができましたから、成功したと言えるでしょう(一応、誰でもいい感じの人は最初からハネてます)。自慢とかではないです。応用可能ですってことです。
すごくわかりやすくて、マーケティングの理論はいろいろあるけれど「使える」ものを抽出してストーリー形式で説明してくれているので、すっと入ってきます。
で、最後の作者の他の商品紹介で「なるほど~」って。
7、『ターン』 北村薫
何度も書いている、北村薫の時間三部作シリーズのうちの最も薄いし読みやすい一冊。
なんだか最近ダレてきたな、と思ったときよく読んでいます。人生の軸に引き戻してくれる、メンター的な小説です。
もし、単調なあの同じ日から抜け出せなくなったら、今は、明日は、できなかったこと、やりたかったことは・・・?
なんとなく、人生に味がなくなってきた、みたいなときってけっこう時間をおざなりにしている気がする。
8、『話を聞かない男、地図が読めない女』アラン・ピーズ バーバラ・ピーズ

- 作者: アランピーズ,バーバラピーズ,Allan Pease,Barbara Pease,藤井留美
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2002/09/01
- メディア: 文庫
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人と接する上でいつもこの本で読んだことを考えています。
男も、女もです。
自分や他人にこういう思考や能力の傾向があることを頭に入れておくのは大事なことだと思っていて、事実この本を読んだだけで同期の異性との関わり方がかなりスムーズになりました。恋愛なら、いわずもがな、です。
自分の(同性の)傾向を客観的に知ることももちろん大事ですからね。
この本の真ん中あたりにについている「男脳 女脳チェック」みたいなのはなかなか面白かったです。30問の質問の答えから、自分がどこまで男/女脳に近いかをテストできます。友人やパートナーにやらせても面白い。
ちなみに、私はオーバーラップ型(男脳と女脳がほぼ半々)の若干女性寄りです。
激しく男性側と女性側に寄った脳の人は・・・曰く、
同じ地球に生きていること以外に、共通点など何もない!
www
9、『果てしない物語』 ミヒャエル・エンデ

- 作者: ミヒャエル・エンデ,Michael Ende,上田真而子,佐藤真理子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06/16
- メディア: 単行本
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『モモ』と並んで、私のバイブル的なファンタジー。子どもの頃と今読んだら感想がまた変わりますが、ワクワク、ドキドキしながらファンタジーにのめり込んで、その世界に入っていっていたあの日を思い出させてくれます。
それでいて、深い。現実世界の欲や、出来事だけをみていると自分にどんどん靄がかかったようになってきて。
そうやって現実に溺れると、ものごとがちゃんと見えなくなる。人間にはいつだってファンタジーが必要なんだ。日本はファンタジー飢餓状態に陥っている気がする
北村薫同様、自分を取り戻すのに必要な一冊。
10、『麦の海に沈む果実』 恩田陸
『三月は深き紅の淵を 』から続く理瀬(出てくる女の子)シリーズで一番雰囲気に合う気がするもの。恩田陸の女の子の好みと私の女の子の好みが一緒で読んでて楽しいです。知的で凛とした、正統派のキレイな女の子。
理瀬シリーズで特に登場人物が多いのがこの本だと思うんですが、出てくる主要人物は皆人間性と過去に一癖あって面白い。芸術や勉強など一芸に秀でている特殊性をもつ設定も好き。
全体、恩田陸の綺麗にまとまった文体が好きです。
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若干今更感はありましたが、以上、私の「自分を表現する10冊」は、自分の思考や価値観の根本を作っている本をまとめました。人間性が多少なりとも感じられるチョイスになっているでしょうか。
自分の原点を思い起こせてとても面白いので、読書家のみならずあらゆる方面の人におすすめです。他人のを見るのも楽しい。
おわり