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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

あまりの素晴らしさに<思わずため息が出る>小説5選

読書

あまりの面白さに、数行読むたび震えが起こる、ため息が出る。

凄まじく面白いのに、感銘を受けすぎて少しずつしか読めない。

読書家の皆さまなら、そんな本を一冊は持っているのではないでしょうか。

私もいくつかあります。

そんな「思わずため息をつきながら読んでしまう」小説を5冊まとめてみました。

恩田陸『三月は紅き紅の淵を』

泉鏡花『外科室』

北村薫『リセット』

・森瑤子『アイランド』

小野不由美十二国記

番外編/森美登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

なるべくジャンルは重ならないようにしているつもり・・・ですが。

アテがないけど面白い本が読みたい、そんなときによかったら思い出してください。

 

一応、私の嗜好や感覚は以下です。

quelle-on.hatenadiary.jp

 

1、構造の面白さ・恩田陸『三月は紅き紅の淵を』

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

 

 前も軽く触れましたが、ハコモノミステリーというやつ。

一冊の『三月は紅き紅の淵に』という本を出発点に、本の中に本があって、その中に広がる世界が本と現実とオーバーラップし、それを外から見つめる作者の供述もすべて本の中・・・?そして、それすらも結局本の中、なのです。

4つの一見独立した話からなり、徐々にそれらが絡み合って、関係しあってきます。

話が始まって、終わって、次に続いて、そしてまた始まる。その入り混じった構造の凄さにため息。

こんなによくできた本を私は知らない。

 

2、日本語の美しさの本質を味わう・泉鏡花『外科室』

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

 

 (他5編ですが、うち「外科室」のみの話になります)

だいたいにおいて、泉鏡花の短編は話自体は割とありふれた内容のものが多い気がします。

そこじゃない。泉鏡花の神髄はそこじゃないんだ。

表現のあまりの美しさにため息が出てしまう。その言葉遣い、描写。こんな美しい表現が、日本語があったのか。言葉のリズムも必見です。

内容は20pくらいで、伯爵夫人が病態で医院に運ばれ手術を受けることになったものの、麻酔をしないと言い張り、命を失ったとしても手術すら拒否する。その理由は・・・という話。

私がため息をついた箇所ですが、麻酔を夫人が拒否したまま手術に入り、死の瀬戸際、というところ。

夫人「でも貴下は、貴下は私を知りますまい!」

医師「忘れません。」

話を読むと、ここでこの表現を使うか、という感銘を受けると思います。

「忘れません」。あなたのことを今後も忘れません、という意味じゃないですよ。

正直言って、一回目はふーん、と読み飛ばしましたが、二回目読んでみてその表現の素晴らしさに体が震えました。漱石の「月が綺麗ですね」に通ずるものがあるようなないような。

3、これまで/これからの人生と「時間」について考える・北村薫『リセット』

リセット (新潮文庫)

リセット (新潮文庫)

 

「時間三部作」のひとつ。独立した話ですが『ターン』『スキップ』も必読。

最初の第一部は、第一部はガマンしてください。

正直第一部の冗長さに一度読むのをやめています、が、そこを抜けると第二部・第三部と死ぬほど人生と時間について考えさせられる良作が待っています。

男性側の叙述パート、女性側の叙述パート、第二次大戦中に離れ離れになった男女が、時を隔てて別な人間に生まれ変わって、再び分かれて再開する。死ぬ、出会う。

視点と時系列の切り替えが見事。

読後は、生きている時間を、一緒にいられる時間を大切にしよう。と、しんみりします。

再開のシーンは、それまでを読んでこそ、ため息もの。

4、運命の人に転生を繰り返しながら出逢う・森瑤子『アイランド』

アイランド (角川文庫)

アイランド (角川文庫)

 

北村薫と別なタイプで、時間・転生系の最高峰。

上記の『リセット』が70年程度の話に対して、『アイランド』はもはや千年くらいの話なのですから。スケールが大きい。

若干レトロフューチャー的な世界観ですが、一応沖縄の与論島を舞台にした近未来という設定。かつて離れた恋人が、さまざまな人間に転生を繰り返して惹きあうものの、すんでのところで出会えない。少しずつヒントを残してまた次の生に、また次の生に。その運命的な、千年の恋愛にため息が出ます。

男女がそれぞれ少しずつ前世のことを思い出していき、やっと出会えるか、というところでまたすれ違うも、徐々に運命的なものに引き寄せられて近づいていく。

思わず震えましたし、これは泣きました。

5、重厚な異世界ファンタジー・小野不由美十二国記

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

 

 国の設定のつくりこみが微に入り細に渡りすごすぎる。12の国の治世、建物、法律、歴史、よくここまで詳細に作り込んだな、と作品の深さにため息が出ます。世界観は中華系に近いです。描写の素晴らしさはさすが小野不由美。建物や風景が目に浮かんできます。

学校で仲間外れにされ、家では高圧的な親に押しつぶされて「いい子」だった少女は、セーラー服一枚で異世界に飛ばされて、何もわからない中人に裏切られ、飢えに苦しみ、獣に襲われながら葛藤し、自分の弱さや醜さと向き合い、強くなっていく。

主人公の葛藤と成長に、元いい子的にはめちゃくちゃ感情移入しました。意外と「他人に言うことを聞かされている、自分が被害者の状態」ってある意味で楽で無責任でいられるんですよね。

シリーズものですが、全部話としては完結しているので、1シリーズからでも。

 

番外編・キャラクターと語り口に惹き込まれる・森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

夜は短し歩けよ乙女 角川文庫

夜は短し歩けよ乙女 角川文庫

 

ー読者諸賢、ごきげんよう。

 これだけちょっと番外編な気もしますが、比較的軽めのを一冊入れてみました。

ていうか、この中村佑介の表紙いいよなあ。

主人公のさえない大学生と天然系少女のなんやかんやですが、男の視点でみたなんやかんやと女の子の視点から語られるなんやかんやが最高にいい。二回言う。いい。あと女の子がいい。

いろいろありすぎてなんやかんやしか言えないのが悔しいところ。この本を的確に面白くレビューできる人間の腕前は相当なものだと思うのです。

単純に京都に思い入れがあるので、ため息をつきながら読んでた部分はあります。

それを差し引いても、女の子がでかい鯉を背負ったりする小説なので間違いないです。

大変名言の多い本なので読むべし。なむなむ!

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以上、自分で書いておいて気づきましたが、私は時間や空間や視点がかみあわさったものが好きなのかもしれません。全部それ系だ。

十二国記は手元にないので(実家)薄くなりましたが、中身は濃いよ!

 

面白い本、私も常に探しています。

 

 

おわり