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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

コミュ障から聞き上手に。プロの聴き方の技を学べ /本橋信宏『心を開かせる技術』

コミュニケーション 読書

心を開かせる技術―AV女優から元赤軍派議長まで (幻冬舎新書)

心を開かせる技術―AV女優から元赤軍派議長まで (幻冬舎新書)

突然ですが、私はどちらかというと話を聞くタイプです。
理由としては、ポジティブな方では他人への興味が強いこと(伝記とかも好き)、ネガティブな方では単純に長くしゃべるのが苦手、ということ。

私が長いことコミュ障してたことは前書きましたが、当時コミュニケーションの本を読みあさってた時、「話し下手は聞き上手になろう」みたいな本が多くて、これだ!と思ったのでいろいろ読んでみました。

カウンセリングの手法を入れたもの、できる社員のコミュニケーション術、No.1ホステスの話の聞き方、そしてジャーナリストの聞き方等。
どれも役に立っていますが、個人的にジャーナリストの聞き方というのが一番インパクトが強くて(他人に興味だけはあったから)、でも上に挙げたものの中ではあまり手を出す人がいないのでは、と思ったので書いています。


『心を開かせる技術』本橋信宏

副題にAV女優から元赤軍派議長までーとあります。主にアンダーグラウンドな世界でジャーナリストとして活動を続けて来られた方です。

が、22歳まで異性とまともに口が聞けなかったり、口下手で自分に他人がどう写っているかが気になって仕方ない、となんだかコミュ障時代の自分を彷彿とさせるエピソードがあります。
一方、他人に対する興味が強く、それと短所である他人の目が気になるというところをうまく組み合わせてインタビューを行っている点に、他の人が無理な難しい・訳ありな人物から話を聞き出すことに成功している要因があるというのは作者も書いているところです。

この本の面白さ

これはもう、サラ金取り立て王やav女優、はたまたav監督なんかを対象に私生活・成育歴等をインタビューしているところにあります。
今から30年も前の話ですから、今よりはるかにまだタブー視が数倍強い、アンダーグラウンドな世界の人たち。
個人的な話を聞き出すのは非常に難しい。
その人たちがどのような過程で心を開き出すのか、どのような背景を持って現在に至ったのか。そこに面白さがあります。

話を聴き出す技術

例に挙げているインタビューがとても面白い。たとえば、

・非合法すれすれ残虐サラ金取り立て王にインテリ分析的アプローチ

・av女優には、笑いをとって、興味を持って

・av監督の応酬話法

・専門外のテーマを振って出てきた左翼元議長の人間らしさ

・・・等々。

真剣に話を聞くこと
キャバ嬢やav女優を笑わせて心をほぐすこと
身につけているお洒落に注目すること褒めること
人間の多面性に焦点を当てること、高い立場の人間にあえて議論をふっかけてみること
入念に下調べして行くこと
相手の眼球の動きなどの身体のメッセージを読み取ること・・・

方法論として、応用できるものとして学ぶことは数え切れぬほどあります。


しかし、この著者のインタビューを見ていると、一貫している・核になっているのが、相手に強い興味を持っている⇒相手に注目する⇒相手にスポットライトを当てたようなインタビューをするということだと思います。
たとえば、初めのサラ金取り立て王を精神分析してみたり、AV女優のリスカ跡を突っ込んでみたり。

月並みですが、人は自分に注目して認めてほしい生き物。特に世間に理解されにくい職に就いていたり、認められない人生を送ってきた人ならなおさらでしょうか。
そんな人たちから気持ち良く話を聞き出す手法は多々存在しますが、こういったメンタリティありきだからこそ、心を開かせることができる。

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人の一生は、一遍の歴史である。

私は歴史系の学科を出ています。その中で聞いた、お気に入りのフレーズです。
いわゆる「普通」の人生を送っている人も、けして個々で見れば普通な人なんて一人もいない。普通、から外れていればなおさら。
一応、大学を出る22歳くらいまで保守的でお行儀の良い人生を送ってきた私としては、そういう人たちに興味があるから、この本を手に取ったのだと思います。