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読書系フリーターの日常

ブラック企業を新卒半年で辞めた読書好きフリーターがいろいろ考えています。契約社員になりました。

沖縄の離島でほのぼの恋愛系『カフーを待ちわびて』

読書 恋愛

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夏らしい本で軽く読めるものといったら、原田マハカフーを待ちわびて』を毎年思い出します。
沖縄の離島の海と空と小さな商店とおばあと、素直で可愛い女の子という盛り込み具合。
優しくポカポカしてくる感じで、第一回日本ラブストーリー大賞を受賞したらしいですよ。

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)

カフーを待ちわびて (宝島社文庫)


とりあえず話の筋は一応に書いておきますが、風景や情景の描写が目に浮かぶようで素晴らしいので、下の方にここぞというところだけ引用しておきます。

おおざっぱな内容と正統派ヒロインの「幸」


主人公は小さな駄菓子屋を営む手に障害をもった青年、そこに突然お嫁にしてくださいと素直でかわいい女の子「さち」が現れて、なんやかんやで離島にリゾート開発の話が持ち上がったり幸の正体が徐々に明かされつつも最後は胸が熱くなる感じ。スッキリ感動系です。

主に幸ちゃんを中心に話が回ります。
で、幸ちゃんって、こんな娘。

驚くほど色白だ。
(略)
真ん中で分けたまっすぐな黒髪に縁取られて、小さな顔は花のようだった。(略)
潤んだ大きな目、すっと通った鼻と、ふっくりとした唇。やや浮き出た頬は、うっすらとし紅をさして明るんでいる。
歳のころは二十五、六だろうか。

しかし、うっかり料理しようとしてスポンジを煮ちゃったりするドジっ娘であり、外の人には気難しいおばあに邪険にされても平然とごはんを食べに行って仲良くなったりしちゃう素直+天然+細身の大食いという詰め込んだなって感じの、どこの萌えアニメな設定です。

色白で細身のくせに、食べる量は腹ぺこのおてんば娘のようだ。
(略)
「おばあちゃん、おかわり」明青が半分も食べないうちに、幸はおばあに椀を突き出した。

風景・情景描写


いくつでも挙げられますが、一応、三つだけ。

ー家の前から南浜へと続く道は、白々と太陽が照り返してまぶしい。ひとつめの角に立つガジマルの大木が、白い路面に濃い影を落としている。
ガジマルは空めがけて勢いよく枝を伸ばし、ゆたかな葉をざわざわと揺らす。そこを右に曲がれば、ゆるやかな下り坂の向こう側いっぱいに海が広がる。

ーーーーーーーーーーーーーー

おばあが湯気の上がる鍋を食卓に運ぶ。
幸がひとつひとつの皿を覗き込んで歓声を上げる。
おばあと幸の賑やかな論争が始まる。
(略)
今日あった出来事、それも取るに足りないことをお互い言い散らかす。

それを家族と呼ぶのなら、自分たちはまさしく家族なのだー


ーーーーーーーーーーーーーー

(幸が夜、木に登った場面で)

樹上の幸は美しい獣のようだった。しなやかな身体が枝の形に沿ってよくしなっているさまは、さながら獲物を狙う雌豹だった。ショートパンツから伸びているほっそりした腿と白いふくらはぎが、人間の胴ほどもある太い枝にぴったりと密着している。裸足の指先は木肌をとらえてきりっと曲がっていた。
明青は、この世ならぬものを眺めているような、甘美な思いで満たされた。


ストーリーはわりと単純なので、何も考えずにただ、沖縄の情景に浸りながらほのぼのしたいときにおすすめです。
常日頃読む人なら2時間、読まない人でも一日1時間で3~4日あれば軽く読めると思います。

軽く、夏らしい景色に浸りたいときに。
カフーを待ちわびて』でした。




今週のお題「読書の夏」